「遊びとしつけ」乳児期からの遊び込みと遊び込みの重要性
特定非営利活動法人“遊びとしつけ”推進会副理事長
育児カレッジ会長 志田 紀子
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育児と教育の心臓部
遊びとしつけ(play and discipline)
「母親が赤ちゃんの“遊び”をどう考え、どのように接するかで赤ちゃんの発育は大きく変わってきます。」
"遊び"は子どもが純粋で可能性にあふれた人生を歩み始める基礎となります。
乳児期から発達を促すおもちゃ(developmental toys)で遊び込みをすると、子どもの内面の発達(inner development)が手に取るように鮮やかに見えてきますので、発達段階がつかめるようになります。
「SENSITIVITY:子どもの心を読み取る感性」を親が身につけていることが大事であり、遊び込みの実践により「子どもが愛おしい」という親の深い情をひきだすことができます。
母親達に「発達の基礎知識、遊び込みの具体的実践方法」を妊娠中または出産直後に教える必要性があります。
遊び込みを実践すれば、子どもの心が安定し、母子の絆、親子の絆、信頼関係が強くなり、内面に、遊ぶ力=学ぶ力、好奇心、コミュニィケーション能力、言語能力、自発性、自律性、学ぶ喜び等が育くまれ、しつけがやりやすくなり、「自己抑制」「思いやり」の気持ち、睡眠、食事、運動、遊び、生活リズム等育児と教育の基本といえるものをバランス良く育くむことができるのです。
現在「遊びを知らない子と子どもと遊べない親」が増えて育児と教育の基本がおかしくなっています。
「溢れんばかりのおもちゃがある家庭の中でおもちゃで遊ばない子、遊べない子、遊ぶ力が弱い子」が多く育っています。おもちゃは遊び道具の一つにすぎません。
育てるべきは遊ぶ力です。子どもの自我が強くなり、自己抑制の力を育むことが極めて大事となる、いわゆる「2歳児という子育てで最も難しい時期」に直面し、母親たちは「しつけ」「接し方」に悩んでいますが、遊び込みをすれば育児と教育の心臓部がつかめます。
なぜ、お誕生から「本物に出会う」ことが大事なのか
生まれた時から「人間の尊厳」があるということは、
赤ちゃんを見ていればわかります。
生まれた時から「赤ちゃんには神秘的な能力がある」といわれていることは、赤ちゃんをよく見ていれば誰でもわかります。「人間の尊厳」「赤ちゃんの神秘的な能力」を大事にしてあげて、赤ちゃんを信頼して、親が丁寧に接することが大事です。
赤ちゃんはまだ言葉がないだけであり、私たちと全く同じ人間なのです。
このことは赤ちゃんと遊び込みを実践すれば体と心でわかります。「赤ちゃんは生まれた時から何でも分かっている」ということを出産前から聞いてきた母親でも、いざ自分の目の前で眠ってばかりの赤ちゃんを見ていると、「赤ちゃんは話しかけてもわかるのかしら?」「ただ寝ているだけだから、赤ちゃんは何もわからないわ」と思うかもしれません。
しかし、ここで大事なことは 母親が「赤ちゃんは話してもなにもわからない」から始まって「1歳くらいの子どもは話してもなにもわからない」というふうになってしまうことなのです。
赤ちゃんは何でも分かっていることを信頼して接すれば、子どもの心が読み取れるようになります。
赤ちゃんと遊び込みを実践すれば
赤ちゃんの心が読み取れるようになります。
生まれたばかりの赤ちゃんに母乳をあげる時、母親は深い幸福感に包まれます。長い期間の忍耐と苦労の末に出産した母親たちだけに贈られる特別な素晴らしい幸福感です。
抱いている時、目を見つめている時などに様々なしぐさで、赤ちゃんは母親と絆を強くしたがっていることを体と心で伝えています。遊び込みを実践すれば、赤ちゃんの気持ちがよくつかめるようになり、次第に、母子の絆、親子の絆が強くなり、赤ちゃんの心が安定し、母親は「子どもの心を読み取る感性」が育てられて行くのです。
「子どもの心を読み取る感性:SENSITIVITY」こそ、
母親が身につける大事なことです。
一言でいえば、それさえ身についていれば、子育てが楽しめるからです。
この感性は赤ちゃんが小さいほど親に身につきやすいのです。「母親自身が育てられてきた家庭の中で、このような感性を身につけて母親になった女性たち」もいますし、そうではない母親たちもいます。
誰でも遊び込みを実践すれば、眠っている感性が目を覚まして心の中で育つのです。
多くの方々が「その感性こそが大事で、その感性があれば子どもが幸せになること、その感性をどのようにして自分の中で育てていくのか、その方法を知らないだけ」なのです。大事な事を教えてくれる人に巡り合えていないからです。
遊び込みを実践するのに0か月から4か月の時期ほど
最も大事で簡単な時期はありません。
特に、赤ちゃんが横になっている時期(0か月から4か月ごろ)に、母親も出産後の疲れた体と心を休ませ体を横に寝転がって遊べば、1、2時間すぐ経ち、気がつけば遊び込んでいるのです。
この時期であれば、実に「遊び込みは簡単」です。
例えば、ディべロップメンタルトイズの代表である、赤ちゃんにやさしい「ブーマリングス」を2、3個つないで振って遊んでみてください。赤ちゃんは一体どんな反応をするでしょうか?
ただじっと見つめているかも知れません。月齢によっては、まだ手を伸ばして触ろうとしないかも知れませんね。
しかし、母親には赤ちゃんのことはどんな小さなことも見逃さないという鋭い感覚がありますので、赤ちゃんの一瞬の目の輝きを見逃さないのです。
SENSITIVITY(感性)が内面に豊かに育っている母親の
遊び込みとは
はじめは「ブーマリングスをたった3個つないで 赤ちゃんの目の前でやさしく振ってあげただけ」なのに、母親は赤ちゃんがじっと見つめていた瞳の中に「何か」を感じとります。
すぐに「赤ちゃんがおっぱいを飲む、おむつを替えてもらう、あやしてもらう、また眠り、目を覚まして、大きな声で泣き、抱きしめてもらう、またおっぱいを飲む」等の日常の生活リズムの中で、ただそれだけではない「何か」、そうです!「赤ちゃんが退屈していること」を感じとるのです。
そうです!母親は赤ちゃんが遊びたがっていることを感じとるのです。
そして、それに気がついた母親は、「出産の前に肌着などと一緒に準備をしておいた、ディべロップメンタルトイズ」を思い出すのです。
肌着、おむつ等と共に赤ちゃんのそばに置いていたブーマリングスや他のおもちゃを手に触れさせてあげたりし始めるのです。
「この色奇麗ね」「いい音がするわね」「触りたいの?」「お指と一緒に口に持っていきたいの?」「なめるのが好きなのねー」「なんでもなめるのね。」「絵本を読んであげるわね」等の言葉が遊びと共に自然に出てきます。
お外に散歩に連れて行く時、家の中で過ごす時、ふれあいの中でやさしい気持ちと言葉が伝わっていきます。母親が赤ちゃんに魅せられていく時、赤ちゃんも母親に魅せられていきます。乳児期の遊び込みの道具の一つとして、特に大事なものがディベロップメンタルトイズと言えます。
両親は赤ちゃんの心の中に好奇心、自我の芽が育ってきていることを敏感に感じ、赤ちゃんに意思があること、好きなこと、嫌いなことがあることを体と心で感じとります。
両親は赤ちゃんの心の中で好奇心や自我の芽が発達していることを生活の中で感じるものです。たとえば、なんでも触りたがる、気に入ったものがあれば遊び始める、好きな絵本の絵やお話を喜ぶ、じっとお話を聞いている、ベビーカーにやチャイルドシートに乗るのを時々嫌がり始める、眠りが足りないと機嫌が悪くなる、お鼻を拭いてあげようとすると顔をそむけたりする、無理なことをすると泣き出す等数えあげたらきりがありませんね。
このような「しぐさ」に出会った時期から両親は接し方を工夫します。
強引にやれば親の思いどおりにできるでしょうが、それではうまくいかないことを両親は気付きます。
自我の芽、好奇心の芽がさらに発達して、子育てが最も難しい1歳半から2歳半の時期、いわゆる「2歳児」になると、接し方が非常に難しくなり、多くの親が「遊びとしつけ」に悩み始めます。
「触るのやめようね」「待っててね」「できるよね」「わかるよね」等の言葉を赤ちゃんの時から心がけ、よく遊び込んでいれば、遊び方、接し方が上手になります。
特に乳児期は家の中で母親、父親、家族のものと一緒に過ごす時間が長いものですね。自我の芽、好奇心の芽を家庭の中で、母親が中心になって育てるのは大変なことです。自己抑制(セルフコントロール)、思いやり、好奇心などはいわば育児と教育の根っこにある大きなものですが、単純に、簡単に、素直に、無邪気な明るい笑顔で赤ちゃんと遊び込みをすれば、わが子が何でも教えてくれるのです。大丈夫。何も心配いりません。
「お誕生の時から発達を促すおもちゃ・ディべロップメンタルトイズと遊び込み」を大事にして、外遊びのお散歩、子どもの遊び仲間、歌 きれいな絵本などを楽しんで、特別な時期である0か月から4か月ごろの時期を大事に過ごしてほしいものですね。
お誕生の時から ディべロップメンタルトイズを発達段階に合わせて与えられた赤ちゃんは、本物に触れる、手で触る、なめることなどによって、安心感、信頼感、満足感、好奇心等が強くなり、外遊びのお散歩、子どもの遊び仲間、歌、絵本を楽しみながら好奇心等を発達させていくのです。
好奇心は学習の基本であり、生きる力そのものです。また、口の中、舌、歯茎、指、指先、手のひら、手の甲、手首、腕、足の指、足の指先、足の裏、足の甲、足首など動かせるもの全てを自分の力で動かしているのです。
その様子を見ていれば、赤ちゃんが自分から動き、一言では表現できないほど、好奇心などさまざまなことを発達させていることが、誰にでもわかります。
そのようなときに発達を促すおもちゃ・ディべロップメンタルトイズを発達段階に合わせて与え遊び込み、布でできた絵本のようなおもちゃ、楽しい歌、きれいな絵の本などに親しみ、楽しみながら、発達を促してあげ、親が赤ちゃんの内面の発達段階が手に取るように鮮やかにわかるようになれば、自然に子どもとの生活が楽しめるものになりますね。
既成品のおもちゃは安全に作られていますが、
当たり前のことですが、やがて、子どもは身のまわりにある、台所用品、日用品に強い好奇心を示すのです。
お誕生の時からディべロップメンタルトイズで遊び込んできた母親は「本物を見抜く目」「子どもの遊びの質を見る目」「遊び道具を見る目」が深く養われます。台所用品、日用品等から安全な物やいい絵本を母親が上手に選び、遊びの道具にしてあげることができるようになります。
赤ちゃんと親の両方にどのようなものでも遊びの道具にして楽しむ応用力がついてきます。
(遊ぶ力が身についてなく単にあれこれ物を触るだけで、すぐに飽きてしまう子どもが多いのです)好奇心を持って遊び込むようになったわが子を見る母親は幸せですね。
物やおもちゃにあれこれ触っているだけで、遊びが深まっていかない子どもは心が不安定でストレスが多いので、すぐに機嫌が悪くなります。「遊ぶ力」が身につくには「遊び込み」の知識と体験が不可欠です。
惑わされないでくださいね。
「おもちゃ」という物は遊びの道具の一つにすぎません。
あふれる程のおもちゃに囲まれているのに遊べない、遊ぶ力がない、遊ぶ力が弱い子どもたちがたくさんいます。「物を与えれば子どもが育つ訳ではありません」子どもの遊ぶ力=学ぶ力、親の子どもを見る目、本物を見る目、好奇心の芽、自我の芽を育てていくことこそが大事です。
その入口の一つが乳児期のデイべロップメンタルトイズなのです。
5、6か月の離乳食の頃になると、母親はこれまでデイべロップメンタルトイズで遊び込み、絵本等に親しんできて、母子の絆、親子の絆、親子の信頼関係を実感するでしょう。
「子どもの心が安定している、子どもは母親の気持ちが心でわかっている、母親は子どもの気持ちが心でわかっている、母親は子どもが愛しい、子どもは母親が大好きだ」ということを次第に強く母親は感じます。全く同じように赤ちゃんも感じているのです。
また、子どもが落ち着いてすわっていられる、食べ物に好奇心がある、食べる物を手でつかむ、指でつまむ、口に持っていくなどを楽しんでいるばかりか、とてもつかむことが上手、つまむことが上手、舌の使い方が上手、舌の上に食べ物を載せてのどの奥に運ぶことが上手、口に触れる物に対して物の形に自分の口の形を合わせるのが上手、そして、おもちゃはもちろん、自由自在に身の回りのものを使いこなして遊ぶ力が付いていることに母親は感動すら覚えます。
母親は赤ちゃんの時からお話してきたように「「ちょっと待ってね」「待てるよね」「椅子におすわりできるわね」「お口を開けて」「この味どうかしら?」「これは初めての食べ物ね」「この味は好きみたいね」「おいしいの?」「この味は好きじゃないの?」「少し熱かった?」「あらっごめんね」「お水も飲んでみる?」「今日はお魚よ」「今日はがんばって作ったのよ」「おいしいわよ」「どう?おいしかった?」「もう、ご飯はおわりにするの?」「よく食べたわね」「終わりにしようね」「お手てを拭こうね」このようにお話や食事を楽しみます。
離乳食が順調に進むと、「母乳、睡眠、ディべロップメンタルトイズ、遊び込み、歌、絵本の読み聞かせ、母子の絆、親子の絆、基本的信頼、外遊び、遊び仲間、食事、運動、遊び、生活リズム等基本的なこと」が軌道に乗ったことに母親はホットするでしょう。
5、6か月の頃になると、ますます、母親は赤ちゃんを信頼し、内面の発達段階をつかみ、楽しみながら発達を促し、赤ちゃんを頼もしく感じ、「愛おしい」という素晴らしい感情に包まれ、自信を深めていきます。
5、6か月になり、もっとはっきりと発達段階が見えてきた時には、お誕生から「赤ちゃんが自分の指、手、足の指、おもちゃ、身の回りの物等を好きなだけなめたり、口の中に全部入れたり、噛んだり、じっと眺めたり、握ったりして遊び、自ら発達してきたこと、両親が本物のおもちゃに出会い、自然に遊び込んで、言葉を使ってお話しをして、赤ちゃんの発達を促し、環境を大事に見守ってきたこと、赤ちゃんの心が安定していること、母子の絆、親子の絆、信頼関係が強く、言葉は出てないのに、気持ちのやり取りができるようになっていること、食べることを楽しんでいること等を実感します。
過ぎ去った6か月間を思い出し自然に育児と教育の基盤ができていることに自信を深めていきます。
育児は親から子に代々伝わる家庭内文化です。
家の中で長い時間を過ごすお誕生からの数ヶ月間は、父親を始め、特に両方の祖母の接し方と親身な助言が母親の育児と赤ちゃんの発育に一番大きな影響を与えています。
家庭環境は子どもに最もおおきな影響を与え、無意識に親は自分が育てられたように、また子どもを育てています。
「育児は1歳になる迄をしっかりやれば大丈夫だ」ということを伝えていきましょう!
育児環境は大きく変容しています。子どもの心が読み取れない、育児の基本を知らない母親たちが多く、育児に悩んでいます。
今こそ育児を担ってきた祖母たちの親身な助言ときめ細やかな支援が必要です。
「育児は1歳になる迄をしっかりやれば大丈夫だ」という事は育児経験者なら誰でも分かっていることです。
しかし、信頼される助言をするには、祖母たちが現在の育児環境を学び理解する必要性があります。
特定非営利活動法人"遊びとしつけ"推進会 HP:www.asobitoshitsuke.or.jp
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